アフリカ大陸を陸路で横断する――そんな冒険心をかき立てる旅が、実は今も現実に存在します。
それが「タンザン鉄道(TAZARA)」です。タンザニアとザンビアを結ぶこの路線は、1960〜70年代の冷戦期に中国が支援して建設した壮大な国際鉄道で、東アフリカの物流と人の往来を大きく変えました。
アフリカの大地を感じながら、タンザニアからザンビアへと続く壮大な旅路。タンザン鉄道は、冒険心をくすぐるアフリカ横断の夢を現実にしてくれます。
ただの「移動手段」ではなく、「アフリカという大地と生きる人々のリズムを五感で感じる旅路」。
私自身、FIRE後の長旅を夢見ている中でこの鉄道の存在を知り、情報を集めていくうちにその魅力にどっぷりハマってしまいました。
タンザン鉄道とは
ルートの概要
タンザン鉄道(Tanzania-Zambia Railway Authority、略称TAZARA)は、タンザニアのインド洋沿岸都市ダルエスサラームとザンビア中部のカピリムポシを結ぶ約1,860kmの長距離鉄道です。
1970年に建設が始まり、1976年に全線開通。現在も週に数本の旅客列車が運行されています。
列車は国境の駅で乗務員交代・入出国管理を受け、国際鉄道としての体裁を保っています。物流列車(貨物)も日常的に運行されており、ザンビアの銅輸出などにも貢献しています。
主要な駅と所要日数
- Dar es Salaam(ダルエスサラーム):起点駅。海沿いの活気ある都市で、旅の始まりにぴったり。周辺にはザンジバル行きのフェリーや市場もあり観光に便利。
- Morogoro(モロゴロ):タンザニア中央部の交通要所。途中下車も可能。
- Mbeya(ムベヤ):標高約1,700mに位置する高原都市。空港もあり、鉄道と組み合わせてのアクセスも便利。
- Tunduma(トゥンドゥマ):国境駅。ここで入出国手続きと機関車の交替が行われる。
- Kapiri Mposhi(カピリムポシ):ザンビア側の終点。ここからはバスで首都ルサカへ向かうのが一般的。
所要時間は2泊3日(約40〜50時間)が目安。ただし遅延はほぼ確実と考えて旅程を組むのが賢明です。
主な景色
- サバンナに広がる赤土の大地とバオバブの木々
- 地平線の彼方まで見渡せる丘陵地帯
- 村人たちが手を振るローカルな駅の風景
- 象やアンテロープなど野生動物が見られることも(特にムクワ駅周辺)
スピードを求める現代社会とは正反対。時速30〜40kmでのんびり進むタンザン鉄道は、時間そのものを味わう贅沢な旅です。
タンザン鉄道に乗車できる都市への日本からの行き方
タンザニア側(ダルエスサラーム)へのルート
- 航空会社例:カタール航空(ドーハ経由)、エミレーツ(ドバイ経由)、エチオピア航空(アジスアベバ経由)
- 所要時間:成田・関空 → ダルエスサラームまで約20〜26時間
- 現地交通:空港から市内へはタクシー(約1時間)。鉄道駅は市内中心部にありアクセス良好
ザンビア側(カピリムポシ)からのアクセス
- ルサカ国際空港からバスまたはタクシーで約4〜5時間
- 国際バスでタンザン鉄道と逆方向に利用するのもアリ(片道のみ鉄道という楽しみ方も可能)
タンザン鉄道のチケット購入方法
現地購入
- ダルエスサラーム駅窓口:出発の2〜3日前に訪れるのが理想。英語が通じます。
- 地方駅でも購入可能ですが、希望の等級が売り切れている可能性あり
オンライン or 旅行代理店
- TAZARA公式サイトやFacebookページで事前連絡可能
- 現地の旅行会社やホテルが代行してくれる場合もあります(手数料あり)
注意点
- 発車時刻は変更されることもあるため、必ず前日に駅で確認すること
- 座席の指定はありますが、車内で変更になることも。柔軟な姿勢が大事です
タンザン鉄道の車両とおすすめ座席クラス
車両構成とクラスの違い
- 1等(First Class):4人個室の寝台。エアコン車もあり、外国人旅行者に人気。清潔さ・安全性が高い
- 2等(Second Class):6人寝台。ローカルな雰囲気を味わいたい人におすすめ。女性専用もリクエスト可
- 3等(Third Class):硬い座席のみの一般車両。価格は最安だが、かなり体力を使うため短距離向け
おすすめの座席選び
- 1等を選ぶなら上段より下段の方が移動が楽
- 窓際が絶景を楽しむのに最適
- カメラマンは進行方向左側を推す声が多数(サバンナビュー)
タンザン鉄道の季節ごとの楽しみ方
- 乾季(6〜10月)
もっとも旅に適した時期。気温は25〜30℃、車窓からの眺めも遠くまで見渡せます。遅延も比較的少ない。 - 雨季(11〜3月)
緑が豊かで風景は映えますが、線路のぬかるみで遅延が大幅に増える可能性あり。 - 年末年始と独立記念日前後(10月下旬、12月下旬)は混雑注意。現地の人々の帰省ラッシュに巻き込まれます。
車内の様子・設備・食事事情
- トイレ:基本は水洗ではないが清掃は比較的されている印象。早めに使っておくのがコツ
- 食堂車(Dining Car):営業していれば軽食が取れる(チャパティ、紅茶、シチューなど)。メニューは日によって異なる
- 車内販売:駅で止まるたびに売り子が乗り込んでくる。フルーツ、パン、ゆで卵、炭火焼きの肉串などを購入可
- 設備:コンセントはない。扇風機のみ(エアコン車両を除く)
持参しておくと安心なもの:
- モバイルバッテリー
- 除菌シート・トイレットペーパー
- スナック類(車内食がない場合あり)
- 南京錠(個室でもセキュリティ意識を)
乗車体験者の声
「旅というよりも“生活”だった。地元の人と同じ空気を吸う時間が貴重だった」
「2泊3日が人生で一番長く、でも一番濃い時間だった」
「Wi-Fiも無く、景色と本と眠気だけ。こんな旅をまたしたい」
TripAdvisorやYouTubeでも多くの記録がありますが、「時間の流れが違う」という声が印象的でした。
Q&A:タンザン鉄道に関する疑問
Q:荷物制限はある?
A:特に厳格ではありませんが、大きな荷物は自分で管理する必要あり
Q:女性一人でも乗れる?
A:1等・2等なら比較的安心。ただし夜間の駅周辺や共有スペースは注意
Q:途中下車はできる?
A:可能だが、次の列車が数日後になる可能性あり。慎重に
ビザと準備について
ビザ
- タンザニア:eVisaまたはアライバルビザ($50程度)
- ザンビア:eVisa取得可能(オンラインで申請・印刷)
※いずれも最新情報を大使館・外務省の公式ページで要確認
安全対策と持ち物
- 黄熱病予防接種(入国時に求められる可能性あり)
- 抗菌薬・整腸剤・虫除けスプレーなど
- 電子機器類は多めに充電・保護
調査に使った参考サイト
まとめ|この旅に「時刻表」は似合わない
タンザン鉄道は、移動でも観光でもない、「時間ごと旅する鉄道」です。
スマホや時間の感覚を手放して、大地と人と自分を再発見するような、そんな旅になることでしょう。
まだ私はこの列車に乗っていませんが、すでに少しだけ、心はアフリカにあります。
※この記事にない最新情報や体験談をご存じの方がいれば、ぜひコメントやSNSなどで教えていただけると嬉しいです!
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