フィリピンとインドネシアを船で旅したい理由

東南アジア

空から一瞬で移動するより、海を越えてアジアの鼓動を肌で感じる旅がしたい──そう思ったことはありませんか?

フィリピンとインドネシアは、どちらも7,000以上の島を持つ海洋国家であり、文化・言語・宗教が複雑に絡み合った東南アジアの縮図のような存在です。
この2つの国を結ぶ海を、飛行機ではなくフェリーで渡ることは、地続きのアジアを自分の体で体験する、極上の冒険になることでしょう。

船旅を選ぶ理由は単なる移動手段ではありません。
「旅そのものが目的」になるのがフェリーの醍醐味です。


フィリピンとインドネシア間のフェリーの概要

フェリー航路の歴史と現状

インドネシアとフィリピンの間には、古くから交易や文化的な交流が盛んに行われてきました。
2017年、両国の協定に基づいてビトゥン(Bitung, インドネシア)とダバオ(Davao, フィリピン)を結ぶ貨客船のルートが開通。
ASEAN域内物流の活性化と地域連携強化の象徴的な航路として注目されました。

現在でも、この航路は貨客船により断続的に運航されており、旅人にとっては貴重な“海の国境越え”を体験できる手段となっています。

ルートの概要と所要時間

  • 出発地:ビトゥン港(インドネシア・北スラウェシ州)
  • 到着地:ダバオ港(フィリピン・ミンダナオ島)
  • 所要時間:およそ2〜3日(天候・積載状況により変動)
  • 運航形式:貨客船(RoRo船)

港の特徴

  • ビトゥン港:インドネシアの水産業・輸出入の要。活気ある市場が隣接し、旅の準備に適しています。
  • ダバオ港(ササ港):ミンダナオ最大都市の港。穏やかな湾内に位置し、ローカル交通も充実。

航路から見える景色

  • 広大な南シナ海とセレベス海を越える航路では、数々の島影が現れては消える海の回廊のよう。
  • 運が良ければ、イルカの群れやトビウオ、美しい水平線に沈む夕日が望めます。
  • 夜には満天の星空が広がり、甲板でのんびりと星を眺める時間は船旅ならではの贅沢です。

船内の様子、おすすめの座席やクラス、設備や食事

クラスと船内の様子

船内は主に以下のようなクラスに分かれています:

  • デッキ席:最も安価で開放的。天候の影響を受けやすいため、寝袋持参がベターです。
  • エコノミークラス:簡易ベッドがあり、横になれるだけで疲れが取れやすくなります。
  • キャビン(個室):冷房完備・鍵付きのベッド空間。プライバシーを重視したい方に。

おすすめの座席

  • 長時間・夜間の航行がある場合はエコノミーやキャビンが快適です。
  • 昼間だけであればデッキ席でのんびり海風を感じるのもおすすめ。

設備

  • 共用トイレ(洋式)
  • 簡易シャワー(バケツ式のことも)
  • 売店(スナック・飲料)
  • 充電エリア(数に限りあり)

食事

  • 食事付きの便もありますが、事前確認必須。
  • 港周辺で食料を調達し、持参するのが一般的です。

実際に乗った人の声

最初は“本当に動いてるのか?”と思うほど静かな出航でした。周囲は地元の人ばかりで英語も通じない。でも、その中に身を委ねることで、旅人としての原点に立ち返るような気持ちになれました。甲板で食べた持参のバナナパンの味、一生忘れません。

デッキに寝転びながら海を眺めていると、イルカが群れで泳いでいるのが見えました。まるでドキュメンタリー映像の中にいるようでした。船内のトイレは正直キツかったけど、それすらも“旅のリアル”として笑い話にできる範囲です。

寝台席でゆらゆら揺られながら読書して、気づけば日が暮れていました。静かに波の音を聞きながら眠るのは、ホテルでは味わえない贅沢。隣のフィリピン人家族とおかずを交換したりして、心の距離もぐっと近づいた気がします。

物音ひとつしない夜の海で、ふと目を覚ましたときの星空は、人生で見た中で一番きれいでした。電波も届かない、灯りもない──でもそれがいい。インスタ映えもしない船旅だけど、本物の“冒険”がここにありました。

乗客のほとんどが現地の人だったので、逆にこちらが興味津々で観察されていました(笑)。話しかけてくれる人もいて、タガログ語やインドネシア語でちょっとした交流も。異文化の中に溶け込むこの感じ、クセになります。


季節ごとの楽しみ方

季節特徴楽しみ方
乾季(4月〜10月)航行が安定甲板でのんびり、星空観察
雨季(11月〜3月)波が高くなることも幻想的な雲間の光や虹を楽しめる
ハイシーズン混雑ローカルの人との交流チャンス

日本からのアクセス方法

ダバオ(フィリピン)

  • 東京/大阪 → マニラ(直行便)
  • マニラ → ダバオ(国内線 約1.5時間)

ビトゥン(インドネシア)

  • 東京/大阪 → ジャカルタ/マカッサル → マナド
  • マナド → ビトゥン(バスで約1時間)

チケット購入方法

現地購入

  • 港の窓口・代理店で直接予約が主流
  • 2〜3日前には確認と購入を

オンライン予約

  • 基本不可。SNSや旅行者の口コミを活用すること

注意点

  • 不定期運航なので最新情報の確認が重要
  • パスポート提示が必要な場合あり

ビザと旅の準備

ビザ

  • 観光目的ならフィリピン・インドネシアともに30日以内はビザ不要(条件付き)
  • 念のため大使館・外務省サイトを確認

持ち物

  • 酔い止め、寝袋、耳栓、軽食、充電器、現金、トイレットペーパーなど

安全対策

  • ライフジャケットの位置確認
  • 貴重品の自己管理は徹底

Q&A(よくある質問)

Q. 船酔いが心配です。
A. 酔い止めを早めに服用し、風通しの良い席を選ぶと安心です。

Q. トイレは清潔ですか?
A. 船によって異なります。準備しておけば問題ありません。

Q. Wi-Fiや携帯は使えますか?
A. 沖合は圏外。オフライン地図や辞書を入れておくと便利です。


参考サイト


まとめ

フィリピンとインドネシアを船で旅するという選択肢は、まだまだ知る人ぞ知るルートですが、だからこそ得られる体験の深さは計り知れません。
飛行機では味わえない海の上の移動時間、異文化の中でのふれあい、水平線と星空に包まれた贅沢な非日常。

情報が少ないぶん、旅の準備には少し手間がかかりますが、そのハードルを越えた先にあるのは、人生の宝物となるような時間です。

🛳️ この記事に載っていない最新の情報や実体験をご存じの方は、ぜひコメントやSNSなどでシェアしていただけると嬉しいです!

安全で心に残るフェリー旅をお楽しみください。

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